放置した空き家の代償と掃除方法|糞掃除の失敗や補助金の存在
空き家を何年も放置しすぎて「中がどうなっているのか怖い…」「虫や糞だらけじゃない?」と不安に感じていませんか?
実際に3年以上放置した空き家の中は、「虫・糞・雨漏り・水漏れ」などの問題があり、自分たちだけでは対応できない所もあると感じました。
この記事では、母の実家である空き家歴17年・3年以上完全放置した家が、「どんな状態になっているのか」「自分たちで何ができるのか」を確認するために、母娘2人で実際に空き家の様子を見に行き、掃除をしたリアルな記録をまとめています。(訪問日:2025.5.25)
- 3年以上放置した空き家の中の状態
- 空き家の掃除方法と注意すべき落とし穴
- 雨漏りや水漏れの発見と対処|補助金制度の確認
「どこから手を付けていいか分からない」「長年放置してしまい後ろめたさがある」「老朽化が進んでいそうで怖い」「知識がなくて漠然と不安」、そんな方の参考になれば嬉しいです。
※現在この空き家の所有者は私たちではないため、所有者の許可を得て作業をしています。また、写真の画質が悪いものがありますがご了承ください。
3年以上放置した空き家の中の状態
当然ですが、3年以上誰も出入りしていない空き家は、劣化が進んでいました。
まずは、現在の空き家の主な状態からお伝えします。
- 屋内全体の臭いはほぼなし
- 網戸はすべてボロボロで機能性ゼロ
- 畳は湿気を含んでおり、ところどころ柔らかく沈む
- 蜘蛛の巣が天井・壁・廊下など至るところに張っている
- カメムシや蜂などの死骸があちこちに落ちている
- ネズミの糞が階段や居室の床のあちこちに散乱
- 2階の一部に雨漏りの跡がある
- 水道の元栓を開けると、外のタンクから水漏れする
虫や糞の掃除は自分たちでもある程度対応できますね。
一方で、雨漏りや水漏れは建物の劣化やカビ、シロアリの原因にもなるため、早めに専門業者へ相談した方が安心だと感じました。
雨漏り修繕や水回りの工事は、自治体の補助金制度が使える場合があります。意外と知られていない制度なので、一度チェックしておくと安心です。
空き家の掃除方法と注意すべき落とし穴

今回の目的は“家の状態確認”と“換気・掃除”です。
見た目は「今も誰かが住んでいるのかな?」と思うくらい残置物が多く、不用品の処分もしたいところですが、今回はやりません。
無理をしない範囲で、私たち2人でできる作業に絞って進めました。
- 室内履きの靴
- 帽子
- マスク
- ゴム手袋
- ハンディモップ
- ほうき
- 掃除機
- ゴミ袋
長年放置した家の掃除には“室内履きの靴”と“帽子”があるとかなり心強いです。
スリッパでも入れますが、虫や糞が多い場合は、脱げにくく足の甲まで覆える靴(スニーカータイプ)の方が安心で動きやすいと感じました。
帽子についても「室内で帽子?」と思うかもしれませんが、天井や梁に蜘蛛の巣が多く、掃除中に頭にかかってしまうことがあります。
虫が落ちてきたり、髪に引っ掛かったりするのが苦手な方は、最初から被っておくのがオススメです。
換気|湿気やカビから家を守る“ついで換気”のすすめ
どの窓の網戸もボロボロで、網戸としては全く機能していませんでした。
虫が入る心配はありますが、3年以上閉め切ったままということを考えると、まずは換気を優先して全ての窓を開けることにしました。
頻繁に通えない場合も、お墓参りや帰省などのついでに短時間でも窓を開けて空気を入れ替える“ついで換気”ができると、劣化のスピードを少し抑えられそうです。
蜘蛛の巣掃除
廊下や階段など、足元から頭上までとにかくどこを見ても蜘蛛の巣だらけでした。
蜘蛛の巣はハンディモップで届く範囲をできるだけ取り除いていきました。
- 蜘蛛は害虫を食べてくれる益虫
- 蜘蛛の巣が多い=餌(虫)が多い
益虫だとしても蜘蛛の巣が多すぎる家なんて、見た目にも良い状態の家ではありませんね。
今回は殺虫剤を持って行っていなかったため、蜘蛛の巣取りまでで終了です。
次回は予防も兼ねて、殺虫スプレーなども用意しておきたいと思います。
虫の死骸・ネズミの糞|失敗から学ぶ掃除のポイント3つ
床にはカメムシや蜂などの死骸がたくさん落ちていましたが、このあたりはある程度想定内でした。
一番衝撃を受けたのは、階段や居室のあちこちに散らばっていたネズミの糞です。

「まさか家の中をネズミが駆け回っていたなんて…」とゾッとしながら掃除を進めました。
そして帰宅後、ネズミの糞について調べて分かったことがあります。
糞尿が乾燥すると、その中の病原体が空気中を漂い、吸い込みやすくなります。糞尿に直接ふれたり病原体を吸い込んだりしないよう気をつけ、早く処理しましょう。
出典:厚生労働省
掃除を始める前に調べておくべき内容でした…
正しい知識や掃除方法を知らなかった私たちは、虫と一緒にほうきで掃き取り、その後掃除機までかけてしまいました。
間違いなく空気中に拡散されてしまいましたね。
その後体調不良は起きていませんが、次からは十分に気を付けなければなりませんね。
- ほうき+掃除機で空気中に拡散。 → 次回は濡れ雑巾でそっと取り除く。
- ゴム手袋・マスク着用で直接触らない。(これは今回実践済み)
- 床や階段全体をアルコール消毒で仕上げ。(実践予定)
“直接触らない”“空気中に舞い上がらないようにする”“消毒”これがとても重要です。
この日は虫やネズミ対策ができるものを持っていなかったため、掃除以上のことはせずに帰りました。
「自分たちでできる範囲」と「プロに任せるべき範囲」を分ける意識も大切だと感じました。
掃除機|糞がある場合の使用は慎重に
虫や糞を掃き取ったあと、全体に掃除機をかけました。
これで見た目はかなりきれいになりました。
ただネズミの糞のことを調べた今となっては、糞をそのまま掃き取ったり、そのまま掃除機を使わない方がよかったというのが正直な感想です。
次に同じようなことが起きた際は、慎重に拭き取り、消毒してから掃除機をかけたいと思います。
雨漏りや水漏れの発見と対処|補助金制度の確認
放置すると家の劣化スピードが早まりますので、早めに対処するのが安全です。
そして、雨漏り修繕や水回りの工事は、自治体の補助金制度が使える場合があります。
- 空き家がある地域と合わせて「〇〇市 空き家 補助金」や「〇〇市 水漏れ 補助金」などのキーワードで検索する。
- 雨漏りや水漏れなどの修繕が対象かどうか、条件などを確認する。
- 対象であれば、業者に見積りを依頼し、見積書をもとに補助金申請手続きを行う。
※各自治体によって制度の内容や条件、金額は異なり、定期的に見直されることもあります。具体的な内容は、必ず最新の公式情報で確認してください。
雨漏り|放置のリスクと補助金の確認
2階の一部で、雨染みのような跡がありました。
自然に治るものではないので、早めに業者へ相談して原因の特定と修繕をしてもらうのが安全です。
※私たちはこの空き家の所有者ではないため、この件については所有者の方へ相談する予定です。
水漏れ|補助金の確認

今回、掃除をしたかったけどできなかったのが、洗面所やトイレなどの水回りです。
水道の元栓をひねったところ、屋外のタンク付近から水漏れしているのを発見し、このまま作業をするのは難しいと判断して元栓を閉めました。
このままでは手を洗うこともトイレへ行くこともできないので、早めに直したいところです。
※この件も所有者へ相談のうえ、今後の対応を検討する予定です。
放置した空き家は害虫と糞まみれ|糞の掃除は要注意


見た目だけなら掃除をしてきれいになりましたが、実際には虫や糞、雨漏りや水漏れなど、長期間放置した空き家ならではの問題がいくつも見つかりました。
軽い気持ちで現地に向かった分、想像以上の状況に最初はかなり戸惑いましたが、「放置してきた年数を考えると、ある意味これが現実なのかもしれない」と感じました。
それでも現状をしっかり把握できたことと、自分たちでできる掃除だけでもできたことは良かったと思っています。
何より、ネズミの糞について「事前に知っておきたかったこと」を今回身をもって学べたのは、大きな収穫でした。
- 乾燥したネズミの糞は病原体が空気中を漂い健康被害のリスクがある
- 掃除の際は、“直接触らない”“舞い上がらせない”“消毒”、これが重要
- 無理せず業者へ相談するのも十分「あり」。
雨漏りや水漏れについても、自治体の補助金など使える制度があれば積極的に活用していきたいですね。
所有者の方と相談しながら、今後も空き家全体の状態や、実際の作業の様子を少しずつ記事にしていきたいです。
空き家の維持管理に悩まれている方にとって、この記事が少しでも背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
【追記】約半年後も掃除の効果あり!ネズミ対策もしてみた
掃除をしてから約半年後、再度様子を見に行きました。
この時点では、虫の死骸が増えている様子もなく、新しいネズミの糞も見当たりませんでした。
ひとまずはホッとしましたが、念のため、あらかじめ用意しておいたネズミ捕りシートと殺鼠剤を設置して様子を見ることにしました。